MacでISE WebPackを使う
ISE WebPACKをMacで動かす方法を紹介します。
失敗する可能性があることをご了承ください。
手順は以下の順番です。
- VirtualBoxでUbuntuの仮想マシンを作成
- ISE WebPackのインストール
- USBドライバのインストール
環境は以下のとおりです。 今回使ったMacのプロセッサはIntelモデルですので、Apple M1などのAppleシリコンでも動作するかは未確認です。
パソコン | MacBook Pro (13-inch, 2020, Four Thunderbolt 3 ports) |
プロセッサ | 2 GHz クアッドコア Intel Core i5 |
OS | macOS Big Sur 11.5.2 |
FPGA | SPARTAN-6 XC6SLX9 TQG144 |
ダウンロードケーブル | Digilent XUP USB-JTAG |
Ubuntuの仮想マシンを作成
ソフトウェア | バージョン |
---|---|
VirtualBox | 6.1.26 r145957 (Qt5.6.3) |
Ubuntu | Ubuntu Desktop 20.04.2.0 LTS |
最初にVirtualBoxをインストールします。公式サイト からダウンロードしたり、Homebrewを使ったりしてインストールしてください。
次にUbuntuを公式サイト からダウンロードしてください。
仮想マシンを作成します。適当に作成すればよいですが、今回は以下の設定にしました。ディスクは、アップデートを諸々適用してISE WebPACKを使える状態で50GB程度使っているので、大きめにとった方が良さそうです。
項目 | 設定値 |
---|---|
名前 | Ubuntu |
タイプ | Linux |
バージョン | Ubuntu (64-bit) |
メモリ | 4096MB |
仮想ディスク | VDI 可変サイズ 100.00GB |
仮想マシンの作成が完了したら、設定を開きます。
「ストレージ」→「コントローラー: IDE」→「空」を選択します。右側のディスクマークから「ディスクファイルを選択」をクリックし、Ubuntuのイメージファイルを選択します。
選択したら、右下の「OK」ボタンをクリックし、設定を保存します。
その後は仮想マシンを起動し、画面に沿ってUbuntuをインストールしてください。
ISE WebPACKとライセンスファイルのダウンロード
最初にISE WebPACKをダウンロードします。ダウンロードページ を開き、「14x」→「14.7」→「ISE Design Suite - 14.7 Full Product Installation」を開いていき、「Linux用フルインストーラー」をクリックしてください。
氏名や住所を入力する画面になるので、項目を埋めていきます。最後に「Download」ボタンをクリックすると、ダウンロードが始まります。
次にライセンスファイルを取得します。Licensing Site にアクセスすると、先ほどと同様に氏名や住所を尋ねられるので、項目を埋めます。埋め終わったら「Next」をクリックします。
「Manage Licenses」タブを選択し、青色になっている箇所をダブルクリックします。
「ISE WebPACK License」にチェックを入れ、下部の「Next」をクリックします。
あとは流れを追えませんでしたが、なんだかんだで「Xilinx.lic」というライセンスファイルを取得できるはずです。
Guest Additionsのインストール
ホストマシンとゲストマシンの間でドラッグドロップをしたりクリップボードの共有をしたりするため、ゲストマシンにGuest Additionsをインストールします。
Guest Additionsを導入するのに必要なソフトウェアをインストールするため、端末を起動して以下のコマンドを実行します。パスワードを求められるので、入力します。
sudo apt install gcc make perl
仮想マシンのウィンドウをアクティブにした状態で、「Devices」→「Insert Guest Additions CD image」をクリックします。
以下のような表示があったら「実行」をクリックします。
このような表示がなければ、端末から以下のようなコマンド([ユーザ名]と[バージョン]は適宜当てはめてください)を実行してください。
sudo /media/[ユーザ名]/VBox_GAs_[バージョン]/VBoxLinuxAdditions.run
ISE WebPACKのインストール
「Drag and Drop」→「Bidirectional」をクリックして、ホストマシンとゲストマシンが相互にドラッグ・アンド・ドロップをできるようにします。
次に、ホストマシンからゲストマシンへ「Xilinx_ISE_DS_Lin_14.7_1015_1.tar」と「Xilinx.lic」をコピーします。
ここで端末を起動してください。 インストーラを起動するのに必要なソフトウェアをインストールします。
sudo apt install libncurses5
以下の通りにコマンドを実行していきます。[ファイルを置いたところ]は、「Xilinx_ISE_DS_Lin_14.7_1015_1.tar」と「Xilinx.lic」をコピーしたディレクトリのパスです。
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インストーラが起動します。「Next >」をクリックします。
同意するか尋ねられるので、同意できるならチェックを2箇所入れます。
同意するか尋ねられるので、同意できるならチェックを1箇所入れます。
今回は「ISE WebPACK」をインストールするので、「ISE WebPACK」を選択します。
オプション機能では、後に別途USBドライバをインストールするので標準のままでよいと思いますが、念の為「Install Cable Drivers」にもチェックを入れます。
インストール先は標準のままで大丈夫です。
インストール内容の確認です。
インストールが始まります。10数分くらい時間がかかります。
USBドライバのインストールに失敗したというメッセージが表示されました。気にしなくて大丈夫です。
インストールが完了しました!
USBドライバのインストール
USBドライバのインストールをします。端末で以下のコマンドを順に実行してください。
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.bashrc
の末尾に以下を追加します。
. /opt/Xilinx/14.7/ISE_DS/settings64.sh
export LD_PRELOAD=/opt/Xilinx/usb-driver/libusb-driver.so
最後に.bashrc
の変更を反映させるため、端末で以下のコマンドを実行します。
. ~/.bashrc
これでISE WebPACKを使えるようになりました。
端末でise
コマンドを実行するとProject Navigatorが起動し、planAhead
コマンドを実行するとplanAheadが起動します。
ちなみに、.bashrc
に書き込む代わりに、以下のような起動用のシェルスクリプトを作成しても良いかもしれません。
#!/bin/bash
. /opt/Xilinx/14.7/ISE_DS/settings64.sh
export LD_PRELOAD=/opt/Xilinx/usb-driver/libusb-driver.so
ise
ライセンス登録
初回起動時にはライセンスの確認が行われ、エラーが表示されます。
以下のウィンドウが現れるので、「Manage Licenses」→「Load License」をクリックします。
ライセンスファイルを指定します。
ライセンスの確認ができました。
ダウンロード
ダウンロードケーブルをパソコンと接続します。ケーブルはUSB Type-Aですが、MacはUSB Type-Cしかありませんので、アダプタを使います。感覚的に、複数種類に変換できる変換器のようなものではなく、下の写真のように単純にUSB Type-A Type-C 間の変換を行うアダプタの方が安定すると思います。
ダウンロードケーブルをゲストマシンに接続します。「Devices」→「USB」→「Xilinx, Inc.」をクリックします。「Xilinx, Inc.」は違う名称になっている可能性がありますが、それっぽいもの(「Xilinx」の文字があるなど)をクリックしてください。
実はダウンロードケーブルとの接続が何回か切れてしまい、その度に接続し直していました。最終的に「XILINX」にチェックが入っている状態でダウンロードに成功しました。
これで、ダウンロードができるようになりました!
あとがき
ここにたどり着くまでに紆余曲折がありました。どの方法でもProject Navigatorは起動しますが、最後のFPGAへのダウンロードに失敗してしまうことばかりでした。
まず、仮想環境御三家とも言える以下の3ソフトを試しました。
- Parallels Desktop 16
- VMWARE FUSION Player 12
- VirtualBox
ParallelsにWindows 10をインストールしてみると仮想マシンにデバイスは認識されているものの、iMPACTでダウンロードケーブルが認識されませんでした。 VMWAREやVirtualBoxでCentOSなどを試してみても、ネット上の情報は古いものが多かったりサイトによって書いてあることが違ったりして、Project Navigatorを起動させるだけで精一杯でした。 ちなみに、今回はゲストOSにUbuntuを使いましたが、Lubuntuを使うとインストーラから画像やラジオボタンが消え、操作不可能でした。
次にCrossOverのオープンソース版を試しましたが、ISE WebPACKは複数のソフトウェアが協調して成り立っているため、うまく行きませんでした。
というわけで、今回はWebサイトを見て回って、うまくいった例を紹介しています。
また、ブートキャンプでインストールしたWindows 10だとダウンロードができた、という話を聞いたことがありますので、この方法だとWindows 10からISE WebPACKを使えるかもしれません。